【スマート逆から読むとトーマス】ITが乗り移ったような4Qの活躍

NBA東西のカンファレンス・ファイナルがつまらないと嘆いていたら、東1位通過のボストンが意地を見せてくれた。

 

キャバリアーズの2連勝で迎えたクイッケン・ローンズ・アリーナでの第3戦。

この日も序盤はケビン・ラブが3ポイントを次々沈め、カイリーも全く外さない。

前半終了時の点差は16点で、第1戦、第2戦に比べればまだマシなものの、

またこのままキャブスが圧倒するだろうと誰しもが感じていた。

 

しかし、この日のセルティックスは違った。

点差こそ付いていたものの、セルティックスのシュートセレクションは前半も悪くなかった。

そして、後半になって徐々に差を詰めていく。

 

特にこの日スターターのマーカス・スマートの活躍が目立った。

エースのアイザイア・トーマスが不在にもかかわらず、代役のスマートが3ポイントを連発。

特に4Q終盤の大事な時間帯でシュートを決める姿は、いつものITを彷彿とさせた。

この試合のMVPを選ぶのなら間違いなくスマートだろう。

逆から読むとトーマスだ。

 

そして、試合を決めたのはエイブリー・ブラッドリー。

ラスト10秒同点の局面で、見事なチームプレーからノーマークに。

このワンプレーは、バスケファンなら何度も見返したくなるようなチームオフェンスだ。

シャンパートとJRが完全にひっかかった。

 

ワイドオープンから放たれた3ポイントショットはリングに当たって弾かれそうになる。

…が、リング上でラッキーなバウンドを繰り返し、リングに吸い込まれた。

リング上でバウンドを繰り返していたこともプラスに働き、残り時間はたったの0.1秒。

キャブスに攻撃の時間は残されておらず(※)セルティックスの勝利となった。

※どんなに優れたシューターでも3ポイントを放つのに0.4秒はかかる。

そして、どんなプレーでも0.7秒は時間が進むことになっている。

 


The Boston Celtics Drain 18 Three Pointers In Game Three | May 21, 2017

 

111-108でセルティックスが大逆転勝利。

しかも敵地で。しかもプレーオフ無敗のキャブス相手に!

 

エイブリー・ブラッドリーといえば、2015-2016シーズンはNBAオールディフェンシブファーストチームに選出された守備の人。

しかし、2017プレーオフではそのイメージを覆すようなオフェンス面での活躍が目立つ。

まだ26歳と若く、ますます今後の活躍に期待がかかる選手だ。

 

ちなみにITはシーズン終盤から臀部の痛みを抱えていたらしい。

そんな万全と言えぬ体の状態で、更に妹の死という精神的にも逆境に立たされたプレーオフで、53点を叩き出すなど素晴らしいパフォーマンスを残したことには敬意を払いたい。

 

クリーブランドについては、レブロンが本調子でなかったように見えた。

試合後の会見でも「チームメイトは良かった。今日は僕がダメだった。」とコメント。

 

それともボストンのディフェンスがレブロンをうまく押さえ込んでいたのか。

キャブスのチーム全体を見ても、緊張感が少し弛緩したイメージを受けた。

特に後半は集中力が欠けていた。

 

しかしながら、本拠地での連敗は許されない。

キャブスは必ず気を入れ直してくるはずで、第4戦の結果がどうなるか、今から楽しみになってきた。

キャバリアーズとウォリアーズが強すぎてつまらないカンファレンス・ファイナル

プレーオフのカンファレンス・ファイナルと言えば毎年熱戦が繰り広げられ、

たとえ応援しているチームでなくても、手に汗握る試合になるもの。

 

でも、今年のカンファレンス・ファイナルはどうだろう。

キャバリアーズvsセルティックス 2-0

ウォリアーズvsスパーズ 3-0

 

なんと、キャバリアーズとウォリアーズはプレーオフで一度も負けていない。

しかも、セルティックスはアイザイア・トーマス、スパーズはカワイ・レナードという
絶対的エースを怪我で欠いてしまい、もう勝てるイメージが湧かない。

 

キャブスvsセルティックスの第2戦は特にひどかった。

誰もレブロンを止められず次々にフィールドゴールを許す。

ケビン・ラブもカイリー・アービングも好調で、少しタフに見えるショットも簡単に沈める。

 

1Qから大差を付けられ、2Qでも差は更に広がった。

ハーフタイム突入時には41点差、3Q途中では50点もの大差が付いた。

この前半戦終了時の点差はプレーオフ史上最大のリードだったらしい。

そりゃそうだろな。でも1位vs2位の試合でそれが起きるとは。

 

こんな試合、後半は真剣に観る気もしなかった。

それでも最後まで「Let's go Celtics」の合唱をやめなかったボストンファンは素晴らしい。

チームを愛してるんだな。確かにもう今年はTDガーデンで試合を観れそうにないもんね。

 

西の決勝はさらに一方的

ウォリアーズvsスパーズに関しての話題はレナード離脱に尽きる。

レナードが左足首の怪我で離脱するまでは、スパーズが敵地でウォリアーズを圧倒しており、もしかしたらスパーズがシリーズを制するかもしれない、少なくとも第7戦までもつれそうなシリーズを期待できた。

 

それなのに、あのパチューリアのファウルのせいで全て台無しになった。

このままでは恐らくスパーズがスイープで負けるだろう。

ものすごくつまらないシリーズだ。

 

結果的にレナードに怪我をさせたパチューリアがMVPだ。

エースを潰されればチームの士気は落ちる。

そして、シリーズの盛り上がりを失くしたのもパチューリアだ。

ポポビッチはパチューリアを強烈に批判していたが、観ているファンとしても批判したくなる。

あのファウルがわざとではないとしてもだ。

 

ただ、それでもNBAファイナルは東西の両雄がもしかすると無敗のまま激突するのだから、素晴らしいファイナルになることを期待する。

ファイナルが3年連続で同カードになることは史上初らしいし、意地と意地がぶつかり合うはず。

 

心技体全てで円熟期を迎えているレブロン

昨年のファイナルから自信を付けたカイリー、

相変わらず史上最高のシューターであり続けるカリー、

ファイナル制覇のために禁断の移籍をしたKD。

 

他にもラブ、JRがいて、トンプソン、グリーンがいる。

ベンチ層もお互い分厚い。

 

今年は史上初の快挙というのが多いNBA

ファイナルでとんでもない記録が生まれても不思議ではない。

2017年ドラフトロッタリー結果から見えるダニー・エインジの手腕

ウォリアーズvsスパーズ第2戦のコートにカワイ・レナードの姿はなかった。

長期的視野で考えるポポビッチの哲学から言えば当然か。

でなければ20年連続プレーオフ出場の常勝チームは作れない。

 

おかげでワンサイドの糞ゲーム。

早々にブロウアウトゲームが確定して後半は観る気もしなかった。

こんな試合にWOWOWにゲストで呼ばれていた水泳の松田さんもかわいそうだ。

 

それでもSO!スポNBAというハーフタイムのコーナーは面白い。

この日はドラフトロッタリーが確定した日で、早速紹介されていた。

 

www.nba.co.jp

ドラフトロッタリー結果
1位 ボストン・セルティックス(ネッツから譲渡)
2位 ロサンゼルス・レイカーズ
3位 フィラデルフィア・76ers(キングスから譲渡)
4位 フェニックス・サンズ
5位 サクラメント・キングス(76ersから譲渡)
6位 オーランド・マジック
7位 ミネソタ・ティンバーウルブズ
8位 ニューヨーク・ニックス
9位 ダラス・マーベリックス
10位 サクラメント・キングスペリカンズから譲渡)
11位 シャーロット・ホーネッツ
12位 デトロイト・ピストンズ
13位 デンバー・ナゲッツ
14位 マイアミ・ヒート

 

なんとカンファレンス1位のセルティックスがドラフトロッタリーも1位。

なんてこったい。

これはロッタリー制度導入後、初の出来事らしい。

 

セルティックスのチーム作りとダニー・エインジGMの先見性

ダニー・エインジはすごい。

90年代NBAが好きな自分からするとフェニックス・サンズの一選手というイメージだが、若い頃はカレッジバスケのスター選手で、大学に通いながらMLBでプレーしていたという。

NBAではなくMLBで。

ただ最終的にバスケを選び、セルティックスはMLBブルージェイズからエインジの契約を買い取ったらしい。

とんでもない経歴だ。

 

NBAでも優れたシューターとして活躍し、引退後はサンズの指導者を経てセルティックGMに。

そして今ではGMとしても大活躍しているのだから本当にすごい。

 

2007-2008シーズンは、ポール・ピアース、レイ・アレン、ケビン・ガーネットというBIG3を形成してNBAファイナル制覇。

しかし、その後にポール・ピアースケビン・ガーネットらをネッツに放出し、代わりにドラフト1巡目指名権を3つ獲得する。

この時得たドラフト1位指名権により、今年のNO1ピックの権利を得た。

 

ポール・ピアースのつぶやき

 
俺の置き土産でセルティックスが1位指名権を取れた!

 

まだまだドラフト1位指名権を残しつつ、キャバリアーズを押さえてイースタン・カンファレンスを1位通過したのだから、今後のセルティックスからは目が離せない。

近々また黄金期を迎える気がする。ボストンの未来は明るい。

ゴールデンステイト・ウォリアーズ vs サンアントニオ・スパーズ

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NBAプレーオフが最高に盛り上がってきた。

自分は無類のバスケ(NBA)好きで、毎日WOWOWで試合をチェックしている。

興奮冷めやらぬうちに書いておこう。

 

2016-2017シーズンは、すでにカンファレンス・ファイナルまで進み、残りは4チーム。

イースタンウェスタン両カンファレンスともに1位2位のチームが順当に勝ち進んでいる。東1位のセルティックスはかなり苦しみつつの通過だが。

 

西の1位2位対決は大方の予想通り、

ゴールデンステイト・ウォリアーズ vs サンアントニオ・スパーズ

 

ただ、ウォリアーズが優勝した2014-2015シーズンはプレーオフでスパーズとの対戦がなく、シーズン73勝を達成し、ウォリアーズ王朝を築き上げた昨年のプレーオフでも対戦がなかった。

 

3年目の正直か、遂に西の両雄が激突。

というわけで、言うまでもなく激アツ。

 

第1戦はウォリアーズの本拠地オラクル・アリーナ。

スパーズは司令塔トニー・パーカーを欠き、絶対エースのレナードもカンファレンス・セミファイナルで痛めた左足首が万全ではない状態。

それに対し、ウォリアーズはここまでプレーオフ無敗。

休養たっぷりでベンチメンバー含め主力選手に怪我人無し。

(ヘッドコーチのスティーブ・カーは休養中)

 

どうせウォリアーズが勝つんだろ。

誰もがそう思う中、第1戦は思わぬ形で始まる。

試合勘の欠如からか、試合序盤ウォリアーズがらしくないミスを連発。

ボールが手に付いていないというか、何か集中力が感じられない。

 

スパーズはそこを見逃さない。

ウォリアーズのお株を奪う速攻で次々にゴールを決める。

ハイライトシーンは1Q終了間際のファストブレイク。

マヌ・ジノビリのスティールから並走したオルドリッジがパスを受け、その足で踏み切ってダンク。


Top 5 NBA Plays of the Night: May 14, 2017

 

2Qも流れに乗り切れないウォリアーズはなかなか点差を縮められない。

それどころか、逆にリードを広げられ、一時25点もの大差が付いた。

イライラしたドレイモンド・グリーンは、最優秀ディフェンダー候補らしからぬファウルを犯していた。

そして、要所要所でダニー・グリーンが3ポイントを決めていたことも大きい。

 

前半終了時のリードは20点。

第1戦はこのままスパーズが先勝するかと思われた。

あとで知ったことだが、ハーフタイムのロッカールームでは、スティーブ・カーが檄を飛ばしていたらしい。

まだ歴は浅いが、スティーブ・カーは素晴らしいヘッドコーチだ。

この檄がなければ後半もずるずる行ったかもしれない。

 

そして後半戦。

ステフィン・カリーが3Qから調子を取り戻し、ザザ・パチューリアの単純なスクリーンプレーから3ポイントを連発。

パウ・ガソルのスイッチが明らかに遅く、カリーがその僅かな隙を突いて3ポイントを次々決める。

 

それでも、スパーズは流れを渡さない。

明らかに場を支配している怪物がいる。

カワイ・レナード。

素早くペネトレイトし、ボールを鷲掴みにしてワンハンドダンクを決める姿はマイケル・ジョーダンを彷彿とさせた。

 

カリーが決め、デュラントが決めても、レナードが決め返す。

あのポポビッチが、現時点でNBAナンバーワン選手だと言うのも頷ける。

コートにレナードがいる限り、俺達は負けない。

スパーズにそんな雰囲気が漂っていたところで悲劇が襲う。

 

レナードのミッドレンジジャンパーをザザがコンテストに入る。

前に飛びすぎたザザの足がレナードの着地点に入り、レナードがザザの足を踏んでしまう。

当然ザザのファウルでフリースロー。(ルール上、ディフェンダーはシューターが安全に着地できるようにしなければならない)

ザザは飛び跳ねて悔しがるが、レナードが起き上がれない。

痛めていた左足首をひねった。

一瞬にして静まりかえるスパーズ陣営。

 

フリースローを打つ前に交代してしまうと、その試合はもう出場できない。

だから、無理をしてでもレナードにフリースローを打たせる。

この状態で2本ともフリースローを決めるレナードの精神力は異常。

しかし、決めた後は走れない。というより、まともに歩けない。

すぐに味方がファウルをして、レナードは交代。ロッカールームに消える。

そして、そのまま戻って来なかった。

 

レナードが抜けた後、スパーズはショックを隠しきれず、みるみる点差が縮まっていく。

55-78から73-78へ。なんとウォリアーズに18-0のランを許す。

そのまま3Q4Qで追いつき追い越され、最終的には2点差でウォリアーズが勝利した。

 

このシリーズの残り試合、レナードは出場できるのか。

今日は日本時間10:00から第2戦が行われた。

これから録画した第2戦を観戦する。

 

レナードは出場しているのか。

そこだけが焦点になってきた。